そして今夜も眠れない・・・かも。 その３

その３　苛立ち

　Ｋ先生って、幾つだっけ？
この魔法の呪文で、母を正気に戻すことは可能のようだ。
しかし、それには手順を踏まなければならず、いささか時間が掛かる。
しかも、効力たるや３０分もない。


７度８度・・・これを何度やればよいのだろう。


同じことの繰り返しに、僕は疲れてきた。
疲れれば、手順が疎かになる。
　あんな病気がちの人が、そんなに長生きできると思う？
　もう、何十年も前に亡くなったことくらい分かるでしょ。
自然、言葉もきつくなる。
　だから、今更関係ない。　早く寝てよ。夜中だよ！
こっちが苛立てば、それは母に伝わる。
　Ｋ先生のことよ。関係ないわけ、ないじゃない！

こうなると、ますます説得は難しい。
そもそも、この状態で説得しようというのが間違っているのだ。

説得は諦めて、誤魔化すことにした。
　でも、今は真夜中、時計を見て。　連絡するのは朝になってからにしようよ。
　ほんと・・・。今電話しちゃ、悪いよね。
　
夜明け近くになり、母も流石に疲れたのか、寝息を立て始めた。
僕も仮眠を取ることにした。


　つづく・・・つもり

ブログランキング・にほんブログ村へ


そして今夜も眠れない・・・かも。　
　その１　それは突然始まった。
　その２　深夜のリフレイン